大阪市の生活保護受給者のうち7割が九州出身者 九州にタカラレテル大阪市

大阪市生活保護受給者のうち7割が九州出身者

 京都市、神戸市とみてきたが大阪市では事情はさらに深刻だ。大阪市西成区生活保護受給費支給日に幾度となく取材したが、受給者の話す言葉には明らかに九州訛りの言葉が目立つ。

大阪市では生活保護受給者の約7割が九州出身者といわれている。これは現場にいても肌感覚で感じます。よく大阪市が『生活保護受給率全国ワースト1』とメディアでは騒ぐが、こうした実態はあまり報じられていない」(大阪市生活保護担当者)

 この声を裏付けるかのように、長崎県佐世保市の更生保護施設の職員をしていた男性は筆者に対し、「更生保護施設を出て『大阪市に行く』という者が後を絶たない」と証言する。大阪市の市長部局勤務のある職員は、こうした傾向は何も大阪市生活保護受給に寛大な措置を取っているのではなく、「大都市ゆえに大勢の人が集まる。その大勢は生活保護受給目的で大阪市にやって来る。地方都市と違いよくも悪しくも生活保護受給を取り巻く環境が整備されていることによる」とその内情を明かす。

大阪都実現後も他都府県から受給者が流入する?

 大阪市西成区天王寺区に蔓延る生活保護受給者を囲い込む「福祉アパート」にみられる低所得者層をターゲットにした、いわゆる「貧困ビジネス」がそれだ。

 今、大阪市では、橋下徹市長の掛け声の下、生活保護受給率を減らそうと躍起だが、「市長もさすがに『九州からの直近の転居者は生活保護受給させない』とはいえない。こうした問題にメディアは焦点を当てて貰いたい」(同)とこれまでの大阪市生活保護受給率にのみ焦点を絞ったマスコミの報道姿勢に苦言を呈する。

「それでも生活保護受給の“1世”が他都府県出身でも、2世、3世が大阪市生まれなので“大阪市の話”となってしまう。そこが何とも歯がゆい」(同)

 生活保護世帯の世襲、継続に似た現状とその出身地の傾向、非常にセンシティブな問題だけに大阪市としても、「その時々の市長の方針に沿って淡々と施策を実行する」(同)しかないようだ。

 仮に“大阪都”が実現しても、この問題もまた世襲ならぬ引き継がれることは目に見えていよう。どこで誰が歯止めをかけるのだろうか。そこが大きな課題である。